それは80年代初頭のことでした。自身のバンドでのライブの最中、創業者ハリー・ハートマンの元に、中空のファイバーと細胞状の素材を組み合わせた天然のケーンそっくりのリードのアイデアが舞い降りました。彼はその後すぐに研究・開発に取り掛かりました。

1996年、共同創業者のディーター・ハーン氏と袂を分かった後、ハリーは更なるリードの改良を志しました。初期のファイバーリードに搭載された黒いラバーパーツは、経年により位置が動いてしまう問題を抱えていました。これを受けて、ハリーは新しく黄色いラバーパーツを使用したリードの開発に取り組みました。

「これまで吹いたなかで一番ケーンに近いリードだね!驚いたよ!」

色が濃くなるほどラバー素材の硬度が上がり、それに従って振動の伝達力も向上します。良質なリガチャと同様の機能を持つパーツをリードに同梱して、プレイヤーの好みに応じてリードの吹奏感を微調整できる点を売りにしたわけです。

ビル・サクストン

「ファイバーリードは木管らしいピュアなサウンドだね。色々試したけど、これに決まりだよ!」

クールなデザインのパッケージを特徴とする初期のナチュラルとカーボンのファイバーリードは、1999年から2003年までの間に販売されました。

2003年に、リード本体が目立つようにした現在のものに近いパッケージへと変わりました。この頃から現在まで、カーボン・ファイバーリードは当ブランドのベストセラーの地位を維持し続けています。

左側は1990年代後半にドイツの新聞に掲載された記事で、リードを研究するハリー氏の写真が掲載されています。現在においても、ハリー氏はリードの研究・開発に途方もない時間を費やしています。右側は、当時まだ新商品だったナチュラルとカーボンのファイバーリードが、旧製品のイエローラバー・リードと共にWoodwind & Brasswind誌に掲載された際の記事です。

クラシックモデルのファイバーリードは、ウォームなサウンドを特徴としています。吹き口の小さいヴィンテージのマウスピースとの相性を考慮して、カット部分をより急角度に加工して芯部分を厚く残すことで、伝統的なプレイスタイルのプレイヤーにぴったりの性能を追求しました。

ヘンプは2014年に発売された 80% オーガニック素材を採用したリードで、ダークで土臭いサウンドを特徴としています。今ではファイバーリードの中でもカーボンと1、2を争う人気を誇る製品です。

Materials for Musicはハードラバーよりも優秀かつ拡張性の高い素材です。色や大きさ、透明度の調節が可能で、カーボンや銅、木材などを混ぜ込むことも出来ます。クラリネットやサックス、トランペット等のマウスピースに最適な素材で、他にもギターなどを含む様々な楽器のパーツにも応用可能です。棒状や板状をはじめ、様々な形への加工も可能です。

オニキスは2018年に発売されたリードで、上記の当ブランド独自素材を応用したものです。ハイテク素材の活用により、市場のシンセティックリードの中でも非常にリーズナブルな価格を実現しました!鳴らしやすく、低音域はウォームで、第2,第3オクターブはパワフルなサウンドを特徴としています。高音域も非常に鳴らしやすいリードです。

NAMM 2020で発売されたカッパーカーボン・クラシックは、上記素材に銅とカーボンを混ぜ込んだリードです。芯部分を太く残したクラシック・カットを採用しており、太く力強い低音域と、全音域におけるウォームなトーンを特徴としています。オニキスと同様、アルティッシモまで届く高音域を鳴らしやすい点も特徴です。